マネジメントリスクプロテクション保険普通保険約款
マネジメント賠償責任特約

マネジメントリスクプロテクション保険

特長

弊社のマネジメントリスクプロテクション保険は、会社役員が業務遂行上の過失等を理由とする法律上の損害賠償責任に関わる損害を補償する、会社役員賠償責任保険(D&O保険)(※)の上位商品です。ここでは、この保険の特長である拡張補償について、主なものをご紹介いたします。

  • 弊社が開発したD&O保険をいいます。
補償項目 背景と補償概要
【2015年7月新設】
社内調査費用
子会社で発生した不祥事により、親会社の役員が子会社に対する監督責任を追及される株主代表訴訟が増加傾向にあります。また、2015年5月施行の改正会社法で「グループ内部統制システム」の構築義務が施行規則から会社法に格上げされたことで、親会社役員の子会社に対する監督責任は、より高い注意義務が求められる可能性があります。そこで自社または子会社において不祥事が発生した場合に、事実調査、原因究明などの社内調査に要した費用の補償をご用意しました。
【2015年7月新設】
保険契約者役員の相続人追加支払限度額
亡くなった役員の経営判断等により会社に損害が生じた場合には、配偶者・子供などの相続人が株主代表訴訟などにより責任追及されることがあります。過去には亡くなった役員の行為を原因として相続人に数億円といった個人としては巨額の損害賠償責任が認められたケースもありました。そこで保険契約者の役員の相続人に対して、基本契約とは別に最高1億円の保険金の支払限度額を追加でご提供します。この補償により相続人の財産をお守りし救済を図ります。
【2014年7月新設】
第三者委員会設置費用
近年、会社に不祥事が発生した場合には、会社の信頼回復のため第三者委員会を設置し、調査結果を株主、消費者、取引先などのステークホルダーに公表する流れが定着しつつあります。そこで自社または子会社において不祥事が発生し第三者委員会を設置した場合に、第三者委員会の委員に対する報酬など会社が支出する第三者委員会設置費用の補償をご用意しました。
【2014年7月新設】
保険契約者の社外役員
追加支払限度額
2015年5月施行の改正会社法において上場企業への社外取締役の設置義務化は見送られました。しかし、海外投資家などから社外取締役の設置を求める声が根強くあり、今後社外取締役設置の要請はますます強まっていくことが予想されます。そこで社外取締役を招聘しやすい環境整備を支援するため、保険契約者の社外役員(社外取締役および社外監査役)については1名あたり最高1億円の保険金の支払限度額を追加でご提供します。

役員を取り巻く訴訟リスク

役員を取り巻く訴訟リスク

  1. 株主代表訴訟
    役員は、具体的な法律・定款違反、または善管注意義務・忠実義務に違反して会社に損害を与えた場合に、会社に対して損害賠償責任を負うことになります。役員の責任追及の主体は会社ですが、6か月以上引き続き株式を所有している株主は、会社に対して役員を訴えるよう請求(提訴請求)することができ、提訴請求から60日を経過しても会社が役員を訴えないときに、株主が会社にかわって、その役員の責任を追及する訴えを提起することができます。これが、株主代表訴訟です。
    • 2015年5月の会社法改正により、親会社の株主が直接子会社の役員に対して株主代表訴訟を提起できる多重代表訴訟制度が新設されました。
  2. 第三者訴訟
    役員が故意・(重)過失によって第三者(取引先、従業員等)に損害を与えた場合に、会社法第429条第1項や民法第709条を根拠として第三者が役員に対して損害賠償を請求するものです。

株主代表訴訟の仕組み

【A】 株主が監査役(代表取締役)に提訴請求書を送付
【B】 監査役(代表取締役)が提訴請求書の調査・検討・判断を行う。
【C】 株主からの請求に基づき不提訴理由を通知する。(不提訴理由書)
【D】 提訴請求から60日経過した後、株主は代表訴訟を提起できる。

取締役の責任を追及する場合は監査役、監査役の責任を追及する場合は代表取締役に、提訴請求書を送付するのが一般的な流れになります。

株主代表訴訟の特徴

  1. 不当行為時以降に株式を取得した株主も提起できる
    原則として、6カ月前から引き続き1株以上株式を所有している株主は提起できる
  2. 訴訟提起のハードルが低い
    株主の負担する訴訟手数料は、訴額の大小問わず一律13,000円
  3. 弁護士(訴訟代理人)の確保という課題
    原則、会社の顧問弁護士を訴訟代理人にできない
  4. 退任後の本人および相続人にもおよぶ訴訟リスク
    取締役、監査役の責任の消滅時効は損害発生から最長10年間

想定される事故例

  1. 株主代表訴訟

     事故例1 
    飲食店のフランチャイズを展開する会社が、無認可添加物を含んだ食品を販売していたことが報道され売上げが激減したため、フランチャイズ店に対する営業補償などの対応を行い100億円を超える多額の費用が発生した。その損失に対する株主代表訴訟において、信用回復措置などを講じなかった代表取締役および専務取締役にそれぞれ約5億円、事実を公表しないとする経営判断を行った取締役、監査役に約2億円の損害賠償が命じられた。

     事故例2 
    化学製品製造会社が、汚泥から製造した土壌埋戻材をリサイクル製品として生産し販売したところ、六価クロムなど有害物質が検出されたため回収に要する多額の費用が発生した。その損失に対する株主代表訴訟において、工場長であった取締役2名(前任と後任の工場長)に対して、調査・確認を怠ったことに善管注意義務違反があったとして、それぞれに100億円を超える損害賠償が命じられた。

     事故例3 
    大手メーカーにおける利益供与に端を発した株主代表訴訟において、利益供与に対する有効な防止体制を構築できていなかったことについての責任を認め、取締役が約3億円の和解に応じた。

  2. 第三者訴訟

     事故例1 
    不採算部門の人員を解雇したところ、解雇した一部の従業員が会社と代表取締役、人事管掌取締役に対して、不当解雇を理由とした損害賠償を請求した。解雇するために不採算部門へ異動させられたとの理由に基づくものであり、最終的に約1億円で和解した。(注)

     事故例2 
    同業者と新商品の共同開発を進める過程で、自社の従業員がデータを捏造していたことが発覚し、開発が中止となった。共同開発の相手側は、被った損害につき会社と従業員の管理責任者である取締役に対して損害賠償を請求し、最終的に約5,000万円で和解した。(注)

    • エグゼキュティブ賠償責任では、取締役が被った損害が補償の対象となります。

補償内容

エグゼキュティブ賠償責任

  1. 取締役、監査役などの個人被保険者がその地位に基づいて行った行為(不作為を含みます。)に起因して、損害賠償請求された場合の、法律上の損害賠償金および争訟費用を補償します。
  2. 個人被保険者に対してなされた損害賠償請求により個人被保険者が被った損害を会社が補償(会社補償)する場合、この会社補償についても補償します。

保険料の役員個人負担

エグゼキュティブ賠償責任の補償対象となる訴訟形態には、株主代表訴訟と第三者訴訟がありますが、株主代表訴訟の敗訴リスク相当分の保険料(保険証券記載)を役員個人にご負担いただく必要があります。

従来、株主代表訴訟の敗訴リスク相当分の保険料は、取締役などの役員の個人負担でしたが、2021年3月に施行された改正会社法の規定に基づき締結した会社役員賠償責任保険の保険料については、会社が全額負担することが可能となりました。

まさかのときの会社諸費用(エグゼキュティブ賠償責任)

会社に対する提訴請求または個人被保険者に対する株主代表訴訟などがなされた場合に、提訴請求の調査に伴い発生する費用など会社が負担する諸費用を補償します。

会社有価証券賠償責任

会社に対する有価証券損害賠償請求がなされた場合に、会社が被った損害賠償金および争訟費用を補償します。

パワーアップ会社諸費用(会社有価証券賠償責任)

日本国内において、会社が証券取引所に改善報告書の提出を要求された場合に会社が負担する改善報告書作成費用や、会社に対して有価証券損害賠償請求がなされた場合に会社が負担する危機管理コンサルティング費用、危機管理実行費用を補償します。

マネジメント賠償責任拡張担保(2014)特約 【2014年7月新設】

不祥事が発生した場合の第三者委員会設置費用を補償し、社外取締役等の社外役員について最高1億円の支払限度額を追加で提供します。

マネジメント賠償責任拡張担保(2015)特約 【2015年7月新設】

不祥事が発生した場合の社内調査に要した費用を補償し、役員の相続人について最高1億円の支払限度額を追加で提供します。

その他の特約

ご要望に応じて、雇用慣行賠償責任特約、敵対的買収対応費用特約など、各種の特約をご案内することが可能です。

ご注意

ご契約にあたって

お見積もりにあたっては、次の書類をご用意いただきます。

  1. 質問書(弊社所定のもの)
  2. 直近2期分の監査済み決算書(写)
  3. その他弊社が必要とする書類

告知義務

ご契約者または被保険者になる方には、ご契約を締結いただく際、申込書記載事項(保険契約申込書およびご契約の締結にあたってご提出いただく付属書類の記載事項をいいます。)について、弊社に事実を正確に告知いただく義務(告知義務)があります。特に申込書で※を表示した項目への記載にはご注意ください。告知義務の対象となる主な項目は、次のとおりです。

  1. ご契約者の業務の内容(業種)
  2. 保険料の算出基礎(総資産額 など)
  3. 同様の補償内容を提供する他の保険契約(共済を含みます。)の有無およびその内容

なお、故意または重大な過失により、申込書記載事項について弊社に知っている事実を告げなかった場合や事実と異なることを告げた場合は、ご契約を解除させていただくことや保険金をお支払いできないことがあります。

通知義務

ご契約者または被保険者には、ご契約の後、通知事項(申込書記載事項のうち、通知義務の対象として保険証券に※を表示した項目をいいます。ただし、同様の補償内容を提供する他の保険契約(共済を含みます。)の有無およびその内容については除きます。)に変更が生じる場合は、事前に取扱代理店・扱者または弊社にご連絡のうえ、変更の承認請求を行っていただく義務(通知義務)があります(事前に変更の事実を確認できない場合は、遅滞なく、ご連絡いただく義務があります)。通知義務の対象となる主な項目は、次のとおりです。

  1. ご契約者の業務の内容(業種)
  2. 保険料の算出基礎(総資産額 など)

弊社では、ご通知いただいた内容に基づき、ご契約の変更承認を行います。この場合、保険料の返還または追加請求をさせていただく場合があります。追加保険料が発生する場合は、契約内容の変更と同時に払い込みください。追加保険料が払い込まれない場合は、ご契約を解除させていただくことや保険金をお支払いできないことがあります。

なお、通知事項にかかる変更のご連絡がない場合や遅れた場合には、保険金をお支払いできないことがあります。また、この保険の対象となる危険が著しく増加した場合などにおいては、ご契約を解除させていただくことがあります。

告知・通知の受領権および契約締結の代理権

弊社の損害保険募集人は、保険契約の締結にあたり、告知・通知を受領する権限および保険契約締結の代理権を有しています。

示談交渉

弊社は、損害賠償請求者との示談、調停などの法律行為を行うことができませんが、損害賠償請求に対して、その解決のための助言、協力を行うことができます。そのため、事故が起きた場合には、弊社とご相談いただき、被保険者ご自身で損害賠償請求者と示談交渉を進めていただくことになります。

このページにおけるご注意

  • この情報は2023年6月1日現在のものです。

このページは保険商品の概要をご説明したものです。
詳細につきましては、パンフレット等をご覧いただくか、取扱代理店・扱者または弊社にお問い合わせください。
また、ご契約に際しては、保険商品についての重要な情報を記載した重要事項説明書(「契約概要」「注意喚起情報」等)を、事前に必ずご覧ください。

無断での使用・複製は禁じます。